ミティラー美術館徒然草

新潟県・十日町市の濃緑の森にある美術館での日々の出来事・感じた事を、館長&スタッフが心の趣くままに綴ります。

新たな作品作り?

口述筆記を始めようとすると、打っている人がため息をついた。また文章がくるのかと思っているので、今の文章をまず打ってもらった。

今日ララさんと町の文具屋に行った。行くといっても、途中の杉林が凍っているので、道路に出てゆっくりと下る。そこは日当たりが悪いので、冬は凍りやすく、危険。雪が降り出してからは、もうすでに20本近く木が倒木したところで危険でもある。

これだけ雪が多くなると、それぞれの場所に異なる危険箇所や気を付けなければならない場所が多くなるので、町に行くといっても簡単ではない。文具屋で紙粘土を20キロほど手に入れた。ララさんにレリーフの作品を作ってもらう予定で、インド式の紙粘土を作ろうと努力したが、インドでないと手に入らないような材料もあり、日本の物でやってみることに。

ワルリーの人たちが小さな絵を今描いているので、明日からはララさんも含んで、雪掘り体験を題材に作品を作ってもらうことにリクエストしようと思う。これらの作品と写真をそのうち公開できたらと思っている(by 館長)

美術館の目玉が復活!?

8e22d547.jpgミティラー美術館の目玉の一つ、ニルマニ・デーヴィーの壷が、まるでフィルムが巻き戻されたように、壷の上の方からと下の方から再生されてきている。この壷は、一昨年の地震後に年賀状にふれた壷で、その壊れ方を見て再生は不可能と思っていたもの。

その壊れ方はあまりに見事で、棒を使ったり、持ち上げて落としたりしてこのようになるものではなく、ビルの爆破の解体現場のようで、3度にわたった大きなピークの地震と、その間にも幾度となく記録されている余震の揺れによって引き起こされたもので、04年10月23日の中越大震災を正確に記録したもの。復興してもこれだけは、そのままの状態で展示しようかと思って賀状にもふれていた。

それが傷つきながらも再生されてくると、美術館のもつ価値が、この一点だけでも甦ったように感じられるから不思議だ。地球上に、ここにしかない作品の復活に立ち会える瞬間は素晴らしい(by 館長)

月にひかれる

外に出ると六日目の月が輝いている。天気予報では、雪降りの状態で、今夜から明日にかけて、山沿いは最大で70センチなのに、戸を開けて出ると月が出ている。ふと振り向くと、雪が降る夜空に、厚い雪雲から月が現れたりする。気象条件や偶然というよりは、センサーのようになっているだけなのかもしれない。月が出ているので、無意識に外に出る。今回は、パイプたばこが入っている袋を探しに(by.館長)

雪の衣で遊ぶ

8e476ff0.JPG立春を迎え、暦の上ではもう春がやってきます。この雪で覆いつくされた森の外では、そろそろ梅の花が咲き始める頃でしょうか。春の訪れを、息を呑んでじっとそこで立っている森の木々と同じように、私たちも本格的に生産的活動が出来るようになるのを待っています。彼らと違うのは、この豪雪の中での生活が長引く程に、私たちには苦しい状況が差し迫ってくるということ。「美術館復興」という言葉が頭の中で木霊し続け、切実な思いとなってゆく。そんなことも露しらず、大きな雪雲を乗せた強い寒気が容赦なく私たちに襲いかかる。「春」は夢のまた夢といった感じです。

「しんしん」と重みを増した雪が降り続けています。さて、雪掘りや道付け等の肉体労働を有無をいわさず強いる雪と、上手に付き合って行く為には、何よりもまず雪を楽しめなければならないように思います。日々決して同じではない雪が作り出すこの森の世界は、私たちに多くの発見をもたらしてくれます。今日の写真もその一つです。みなさんはこの2本の杉の木の頭を見て、何を思い描かれますか?2頭の恐竜の子どもが、前足で何かをつかんでいる様に見えませんか?何となく、後ろの子の方が小さく丸まっていて、兄弟だったなら前の子がお兄さんで、見本を見せているのでしょうか。こんな小さな発見が、過酷とも言える雪の生活の中で楽しみや笑いを生んでくれるのです。大きな1本の杉の木が粉砂糖を降りかけたお菓子のクリスマスツリーの様に見えたり、雪崩れてきた小さな雪の固まりが綺麗な層を作り、雪のバームクーヘンになっていたり、雪の間から出ている白樺の木がトナカイの角に見えたり…当りを見渡して、目のチャンネルを回すだけで、そこには宝の山とでも言えそうな発見の種が隠されています。

明日はどんなアンテナを張り巡らそうかしら… (by.R.H)

うさぎが食べた枝

ded09dca.gif本村(ほんむら)にある男性宿舎の雪掘りの31日、お隣りのまごきちさんの茅葺きの家の様子を見に。ユンボのそばで監督をしていたシルバーも一緒についてきた。先週の土、日に息子さんとまごきちさんは雪掘りにいらしていたようだった。我々が下ろしている家々と同じくらいに屋根ギリギリに雪がいっぱいの状況だ。軒先を出し、その周りを、ずっとスノーダンプ1台分くらいの幅で深さ30センチくらいの溝が掘られてあった。線を引いたような仕事ぶりだ。村の方の雪仕事、長年の知恵や技を垣間見せていただいた。

かんじきをはいていなくても行けそうなので、家の後ろへもまわってみた。男性宿舎ほどではないが、裏手は山がすぐ近い。庭木なのか桐の木だと思うが、雪から枝が挿し木のように顔を出していた。枝の皮がウサギに食べられていて、寒そうでもあり、痛々しいようでもあった。昨日か今日、枝を食べにきた子ウサギらしい足跡が雪に残っていた。山の動物たちにとってもこの冬は大変に違いない。よく見れば、1メートルくらい高い所の枝も食べられていた。明らかにそこまで雪があったのだ。
春になって雪が解けたら、今とんでもないところに自分が立っていることを知るだろう。山々の木の枝や幹がウサギに食べられた跡を見て、この冬の積雪量を地上から実感する。(by matsui)
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ミティラー美術館

濃緑の森にある廃校になった小学校を利用し、1982年に設立された私立の美術館。ミティラー画をはじめ、インドのコスモロジーあふれる豊かな民族(俗)芸術を収集、常設展示しています。また、来日するインド人描き手の新たなアートの創造の場となり、その作品群はインド政府より量と質において世界に類がないものと高く評価されています。この美術館を拠点に全国への「出張展覧会」や、南の国の文化紹介などの文化活動をしています。2004年10月の新潟県中越大地震で被災のため、1年9ヶ月間休館しておりましたが、2006年7月22日、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2006協賛「インド民族アートの世界」展にて再オープン致しました。

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