ミティラー美術館徒然草

新潟県・十日町市の濃緑の森にある美術館での日々の出来事・感じた事を、館長&スタッフが心の趣くままに綴ります。

記:Matsui

スノーカントリーにマニプリの歌声が

81daea95.gif今日は昨日から降り始めた雪が40cmを超え、やっと3m位になった積雪が3m50cmになってしまった。3月も半ばだというのに除雪車が1日に2回入った。やはり寒い一日だ。しんと静まりかえって、鳥のさえずりさえ聞こえてこない。それでも雪雲が薄く、うっすらと青い空の色が心なしか透けて見えるようだ。しかしかなり降り続いている。

十日町の公演に合わせてマニプリ舞踊団の一行10名が到着したのは3月6日。宿舎になる元教員住宅へ行くには、道から高さが1m50cm位はある雪道の上を歩いて行かなければならない。美術館を見学してもらってから、用意した長靴に履き替えてもらう。イボチョウバ団長さんに聞けば、マニプリでは降っても7cm程度(手で表す)らしいので、皆さんすごい体験だったことでしょう。マニプリの皆さんが春を連れてきてくれたのか、滞在中は晴れの日が多く暖かな日が続いた。用があって宿舎に行くと、チャイをご馳走になった。マニプリの唐辛子(とても辛い)を分けていただいたり、館長が好きだからと干した納豆を手に一杯いただいたりした。

8日の情報館公演の最後のアイテムを見せていただいた。踊りの初めに鳴らされるゴングの響きが、観客を神々の崇高な世界へ導いていった。小柄で可愛らしいニミタさんのどこにそんなエネルギーがあるのかと思えるほど、手や腕の動きは流れるようで、美しい動きをともなって大変優雅に表現され、その流れは止まることなく、時に激しくステップを踏み、ジャンプしながらステージいっぱいに踊られた。他の4人の踊り手の皆さんの表現も豊かで、優雅で美しかった。静かで同じ繰り返しの動きの多いマニプリ舞踊だが、見るものを飽きさせない表現力の高さ、豊かさ、魅力があり、芸術性の高いグループだった。また、シュヤマさんの歌声は素晴らしく、マニプリの山々が見えてくるようだった。

久しぶりに雪が舞った昨日(3/12)は、マニプリ舞踊団の出発の日だった。月見亭の前にマイクロバスを横付けし、Mnの撮った写真のスライドショーを皆で見てからの出発となった。すでに5cm位雪が積もっていたので、バスの中でそれぞれ靴やサンダルに履き替え、長靴を受け取った。さようなら、お元気でという気持ちをこめて笑顔で手を振って見送った。僅かな滞在ではあったが、やはり別れは一抹の寂しさを感じる。その後、チェーンなしで八箇峠を無事越えられたと連絡が入った。

今日の鎌倉高校での公演も素晴らしかったとのこと。いよいよ明日は最後の公演だ。 (by Matsui)

スプリング カミン?!

0ebddc6e.gif毎年12月の初め頃には、越冬用の野菜をまとめて買って保存しておく。ジャガイモ、玉葱、キャベツ、大根、人参、白菜、ゴボウ、それに長芋、里芋、長ネギなどだ。しかし、毎年のことだが、必ずといっていいほど、春先には傷んでしまった野菜を処分せざるをえなかった。なかなか計算通りにはうまく使い切れないのだ。今年は数を少なめに抑えたし、昨年のように突然水が50日も出なくなるなんてこともないので、野菜の減りは順調だった。

先週新しいジャガイモの箱を開けたら芽が出始めていて驚いた。まだ2月になったばかりなのに。最近では白菜がかなり傷んでいて、思わず、もったいなーい!と声に出してしまったほど。まだまだ白菜漬けにして食べたいのに。もう4個しか残っていないうちの3個は、傷んでいた所を取ったら、元の大きさの3分の1くらいになってしまった。大根もそうだ。そう言えば1月の後半に暖かい日があったが、3月から4月初旬の暖かさだと天気予報で言っていた。野菜たちはどんなセンサーを持っているのか、温度変化を感じ、春と勘違いしてしまったに違いない。

昨日窯入れだけ行ったテラコッタの今日(2/15)は火入れの日。いよいよ制作されたテラコッタに命がふきこまれるのだ。ララさんと朝公民館に向かった。今週末の「十日町雪祭り」の準備で、道路の除雪が急ピッチに行われていた。本来の道幅を出すために雪庇を落とし、雪壁を削り、ロータリーで飛ばし、あるいはダンプカーで運びといった具合に。町なかの家の屋根には雪がほとんどない。道路は、昨日、今日の雨でアスファルトが出ていた。それだけでも春めいた景色だった。「スプリング カミン」とララさんが言った。私もそう感じはしたものの、まだ2月の半ばだから、まだまだ寒波は来るし、雪は降るんだよと言いたかったのだけれど、運転していたので、とっさには言えなかった。

夕方資料を探しに美術館に行って、しばらくして戻ろうと外に出たら、靄がかかっていて小雨が降っていた。雪降ろしでできたいくつもの小高い雪山を上り下りしながら歩いていると、左手のブナの森から「ホホー、ホッホホホー」と今年初めてのフクロウの鳴き声が大池に響いてきた。自分の耳を疑って、歩みを止めた。サクッサクという少し緩んだ雪の上を歩く自分の足音が消えた空間に、再び「ホホー、ホッホホホー」と響いてきたのだ。やはり春がきたのかもしれない。(by Matsui)

うさぎが食べた枝

ded09dca.gif本村(ほんむら)にある男性宿舎の雪掘りの31日、お隣りのまごきちさんの茅葺きの家の様子を見に。ユンボのそばで監督をしていたシルバーも一緒についてきた。先週の土、日に息子さんとまごきちさんは雪掘りにいらしていたようだった。我々が下ろしている家々と同じくらいに屋根ギリギリに雪がいっぱいの状況だ。軒先を出し、その周りを、ずっとスノーダンプ1台分くらいの幅で深さ30センチくらいの溝が掘られてあった。線を引いたような仕事ぶりだ。村の方の雪仕事、長年の知恵や技を垣間見せていただいた。

かんじきをはいていなくても行けそうなので、家の後ろへもまわってみた。男性宿舎ほどではないが、裏手は山がすぐ近い。庭木なのか桐の木だと思うが、雪から枝が挿し木のように顔を出していた。枝の皮がウサギに食べられていて、寒そうでもあり、痛々しいようでもあった。昨日か今日、枝を食べにきた子ウサギらしい足跡が雪に残っていた。山の動物たちにとってもこの冬は大変に違いない。よく見れば、1メートルくらい高い所の枝も食べられていた。明らかにそこまで雪があったのだ。
春になって雪が解けたら、今とんでもないところに自分が立っていることを知るだろう。山々の木の枝や幹がウサギに食べられた跡を見て、この冬の積雪量を地上から実感する。(by matsui)

シルバー君の鼻にもっと太陽を

ab0efb8e.gif12月10日から1ヶ月ちかく雪が降り続きました。その間3日くらいだけ雪の降らない日があっただけ。毎日館長とお仕事に出かけていたシルバー君ですが、紫外線不足で鼻が茶色になってきました。いつもは瑞々しく真っ黒なんですが、1月の半ばくらいには、鼻の穴の周りと下の部分が薄茶色のまだら色に。日光が足りないっ!ほんと、お日様の出る日がほとんどなかったのです。薄曇りでも、お日様が出ているようでも、雪は降り続いていました。

15日頃から天気模様は少し寒さが緩んだり、晴れたり、雪が降ったりと変化がありましたが、29日はまっ青な空が広がりました。春めいた日射しが雪に反射してとても眩しい一日でした。久しぶりに太陽の恵みを全身に受け、寒いながらも気持ちの芯が暖まり、心が潤いました。お日様パワー!!有りがたいです。
最近は現場監督のお仕事が多いシルバー君ですが、傍ら日光浴にも精を出しておりますので、お陰様で鼻は、ほら、ほとんど真っ黒になりつつあります! (by matsui)

シルバー探し

7112e0e4.gifシルバー君の姿が見えなくなってから30分が、探しに行く出発の限界の時間。いろいろ寄り道しながら歩いていくシルバー君が、8キロ離れた町の入り口に到達してしまうからだ。そこを過ぎてしまうと、もう町中を探し回らなければならなくなる。21日の土曜の夜は、夕食もそこそこに出発した館長がギリギリセーフの地点で見つけることができた。

1回町まで行ってくるとしばらくは落ち着いているのに、何故かまた行ってしまったシルバー君。3日後の午前11時半頃、Mn君から「シルバーそっちにいない?」という電話が月見亭にきた。10時頃美術館にMn君と行ったけれど、いついなくなったかはっきりしないとのこと。時に、一人で月見亭に先に戻ってきたりすることもあるので、てっきりそうかと。すぐに外に飛び出して道の足跡を確認してきたR、「やっぱり町へ向かったみたい」 さぁ大変。Rも手伝って車の屋根の雪を下ろしたり、車から道までの除雪車が押した堅い雪をスノーダンプでどかしたりして、時間を取られたりしていると間に合わなくなってしまう!

大池から出てすぐの杉林の中では確認できたシルバー君の足跡が、県道に出るときれいに除雪された後で、足跡がなくなっていた。一つ目のカーブを曲がると雪庇落としの作業中だったが、ちょうど昼休みに入ったようで、止まっていたユンボにもタイヤショベルにも人はいなかった。町まで中間地点くらいの津池という村まで下りたが足跡もマーキングか所も見あたらない。もしかして雪庇落とし作業中で大型車が行き交って通れず、菅沼へ行ったかもしれないと思い、戻ることに。されどやっぱり菅沼にも足跡はなく、気配がなかった。ちょうど菅沼の道場で昼休みをとっていた雪庇落としの作業の方が一人駐車場の所へ出てこられたので尋ねてみると、「10時過ぎ頃には下っていったよ」とのこと。ガーン、もう2時間は過ぎてるー!

現状報告のため長岡へ大特免許取得のために行っている館長に連絡を入れる。菅沼を出るとすぐ携帯が通じなくなるので、警察への問い合わせは館長にお願いし、再び町へ向かうことに。足跡をRに探してもらい、私はハンドルを握る。美佐島駅ちかくで「あっ、マーキングがあった」とRが見つけたが、足跡はもうどこにもなかった。江道から町の入り口となる広い道を抜け、田川町へ回ったが見つからなかった。時間があまりにも経ち過ぎていた。館長に電話を入れると、警察の方にはまだいない、新座駅から国道に出て6丁目に回ってみたらどうかというので、再び広い道から新座方面へ向かう。十日町中学校の前を過ぎて1個目のカーブにさしかかった時、シルバー君らしきふさふさのグレーと白の尻尾の先端が目に入った。「あっ!シルバーがいた!」と声に出すと、「えっ、どこ?」とRが言う間もなくカーブを回りきると、すれ違う対向車を追うように、ドライバーの顔をのぞき込むように近づいていったり、うろうろと動きながら、道の真ん中をこちら方向に向かうシルバー君がいた。危ない!彼の後ろからもう1台対向車が向かってきている。

犬の存在に気づいたドライバーは速度を落としてくれたからよかったものの、危ないよ、シルバー君。追った車の反対側の私の車のことも、後ろから車が来ていることも全く意識がいっていない動き。道全体が見れていない。後続車がいないことを確認して、シルバーの側で止めて、ドアを開け「シルバー!」と声をかけた。すぐには分からず、もう一度名前を呼んだら、困ったような、曇っていた表情がぱぁっと明るくなって、「やっとお迎えの車だー!よかったぁ!」と言わんばかり。「おいでシルバー、ジャンプ」と声をかけ運転席側から乗っけた。約午後1時、無事保護。(1月24日)by Matsui

シルバー君の仕事

e5d55535.gif シルバー君の仕事は、ユンボのバケット君にまとわりつき、吠えること。向かっていくには大きいし、動きは読めないし、じゃれるには可愛い気がないし、でもとても気になる存在。外の仕事は大好きで館長と一緒にお仕事に行く毎日。

 中越大震災で震度6強の地震を体験した彼は、その後ちょっとした揺れでも、私と同じようにふっと頭をもちあげてあたりを見渡すそぶりを見せていた。(震災時の様子は、松井の災害レポート http://www.mithila-museum.com/saigai/report_matsu.html に掲載しています) 怯えたような、不安な表情をするシルバー君を見て、「犬だって怖い思いをしたんだよ、近くにいさせてやろう」という館長の言葉に始まり、今ではすっかりお座敷犬になってしまった。1歳の時グランドの真ん中で一冬過ごした同じハスキー犬とは思えない! ですが皆に愛されて幸せに暮らしております。

 最近では雪掘りバケット君相手のお仕事も時に飽きてくることもありまして、一日中吠えていた頃と違って、少し離れた小高い雪山の頂きなどで皆様のお仕事を監督したりしているうちに、ゴロンと休んだり、時に居眠りしたりなどの時間も多くなったりすることも。そうするとエネルギーが余っておりまして、雪掘りを終えたバケット君を確認しますと、自分のお仕事も終わった、さぁてちょっと一杯飲みに行きますか、ではありませんが、皆様雪掘り後の後片づけで忙しい時に、一人すぅーと向かう先は、ま・ち。気がついた時にはいない。「誰かシルバー見てない?」「さっきまでそこにいたのに」「最後にシルバーを見たのは何時くらい?」あー、また行ってしまったのか、シルバー君。(1月21日)(by.Matsui)
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ミティラー美術館

濃緑の森にある廃校になった小学校を利用し、1982年に設立された私立の美術館。ミティラー画をはじめ、インドのコスモロジーあふれる豊かな民族(俗)芸術を収集、常設展示しています。また、来日するインド人描き手の新たなアートの創造の場となり、その作品群はインド政府より量と質において世界に類がないものと高く評価されています。この美術館を拠点に全国への「出張展覧会」や、南の国の文化紹介などの文化活動をしています。2004年10月の新潟県中越大地震で被災のため、1年9ヶ月間休館しておりましたが、2006年7月22日、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2006協賛「インド民族アートの世界」展にて再オープン致しました。

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